興味を持ちはじめてから約2年、具体的に取り組みはじめて4ヶ月。
会社員として勤務するかたわらで不動産投資がついに実現しました。
ちょうど誕生日と同タイミングでの決済を終えて、GWのいまこの記事を書いています。
不動産投資開始までの過程は、2020年2月からTwitterで #へらじか不動産 というタグを付けて集中的に呟いてきました。
そのツイートを振り返りつつ、まったくの初心者が実際に収益不動産を取得するまでの流れを綴ってみます。
この記事の想定読者は以下を考えています。
- 会社員として働きながら副業としての不動産投資をしたい
- 不動産に興味はあるが具体的なはじめ方がわからない
- 築古1棟アパートの投資回収についてリアルな数字が知りたい
数字の部分は未完成のため、今後折を見てアップデートします。
2020年不動産投資スタートの動機
会社員のかたわら賃貸経営を始めようとした動機は大きく3つ。
- 将来(特に2028年)への備えとして
- 本業で2度目の海外駐在が叶わなかった場合のプランBとして
- 転職か副業かキャリア選択の結果として
それぞれ少しづつニュアンスは異なりますが、いずれも子供の将来へ使える金銭的な余裕を増やしておきたいという点で一貫しています。
いま隣で、風になびくカーテンと戦っているこの子がいつか大学に… なんてまだ想像がつかないんですが、その時になってから後悔しないように時間を味方につけて資金を貯めていこうと考えました。
1番目の「将来への備え」については以前記事にしました。
夏冬のボーナスのたびに見直している、今後数十年間の家計シミュレーション。
現時点では、以下の条件であれば生きていけそうな見込みが立っています。
- 現職を継続しへらじかの1馬力
- 子供2人は高校まで公立、大学は私大文系
- 自宅は購入せず賃貸
ただし、2028年で会社からの家賃補助が終了し、それによる貯蓄スピードの鈍化がすでに予見できている状況。
家計のシミュレーションについて、詳しくは過去の記事へ。
加えて、この資産額では子供が私立への進学や留学を希望した場合にそれを叶えるのが難しいのも事実。
アメリカへの留学については以前、Twitter上でいただいた情報を記事にまとめています。
すでに見えているこれらの課題に対し、配当所得を主目的に米国株・日本株への投資をしているものの、元手の金額は大きくありません。
配当所得が収益の柱になるにはまだ時間がかかりそうなため、融資を活用した不動産という道を選びました。
2点目に書いた「海外への再駐在」は、キャリアの観点からも家計の観点からも最も好ましい生き方。
2028年の家賃補助打切り問題や、子供の留学をまとめて解決できる可能性があります。
一方で現在の新型コロナウィルスによる実質的な国境封鎖、そして予想される経済危機から、海外駐在というオプション自体が縮小・廃止になることも大いに考えられます。
上司に対して再駐在の希望は伝え続けているものの、人事や世界情勢を考えると実現可否は全く読めないため、リスクヘッジのための現実的なプランは必須。
その1つの案が不動産でした。
3点目の「転職案」については、米国駐在から帰国して以来たびたび考えるオプション。
現職では環境にも仕事にも恵まれていますが、給与面は一般的な日系メーカーのそれなので、正直にいえばもう少し期待をしたいところ。
これを転職によって実現するのも手であり、現職を続けたまま副業的に不動産所得や配当所得を積み上げるのもまた一手。
日々考える中でまずは後者、不動産を選択することになりました。
この「転職か副業か」というのは長くなりそうなので、いずれ別記事で書きます。
初心者が不動産投資を始めるまでに行った10のこと
ぼんやりと不動産投資を志してから実際の購入に至るまで、完全な素人がやってきたことを時系列で書いていきます。
まず全体像をつかんでいただくために各アクションの実施時期を図にしてみました。
各項目について順に解説しますが、文字数が多くなりすぎるのを避けるため、今後それぞれ独立した別の記事として補足する予定です。
1. Web上での物件検索(約1年間)
はじめに界隈で有名な楽待、健美家、アットホーム等のWebサイトを中心に収益用不動産を眺め続けました。
自分は知識ゼロの状態から新しいことをはじめるときは、習慣的に情報を浴び続けて学ぶのが性に合っているようでこの方法を採りましたが、お勧めするわけではありません。
なぜなら後になって振り返れば、ここに掲載される時点でほぼ「売れ残り」の物件だったからです。
稀に良い条件の物件も流れてきますが、自分の基準と照らすと月に数件あれば良い方。
そして仮に見つけてもほんの数時間で買われたりします(経験談)
もちろん丸々無駄なわけではなく、投資用物件検索サイトの活用方法としては以下の3つが考えられます。
- 掲載された物件に指値(値引き)を入れる
- 物件ではなく不動産仲介業者を見つけるのに使う
- すぐに売り切れる物件をチェックし相場感を養う
自分は後者2つ、仲介業者さんとの最初の連絡や相場感を知るために使っていました。
収益用不動産検索サイトの、初心者なりの使い方は別記事にまとめました。
検索を通じて「自分の中での相場感・投資方針を固める」ことがポイントかと思います。
2. 不動産投資関連本による学習(15−20冊)
初期の頃は購入すべき物件の方向性を決めるためにいろんなジャンルを読みました。
区分マンションが良いのか1棟ものが良いのか。または戸建てか。
そもそもそうした分類すらわかっていなかったので後述のブログ等と並行して知識づけを。
そのうち中古アパート1棟投資に的を絞り、具体的な手順を学ぶための本へとシフトしました。
読んだ本のうち、特に実際の購入に役立った3冊をピックアップして別記事でまとめました。
3. 不動産投資関連ブログでの学習
上述の書籍と同じく、はじめは自分の方向性も絞れていないのでいろんな方のブログを読みました。
中心的に読んだのは、自分と境遇の近い人が書いたもの。
つまり会社員をしつつ、副業として不動産をやられている方々。
参考にしたブログ・Webサイト・Twitterアカウントはこちらの記事にまとめました。
4. 自身の不動産投資方針の決定
本やブログでの学習を通じて「銀行からの融資を活用した中古一棟アパート」という方向性を決定したのが2019年末頃。
それまでは「融資を使わず自己資金で区分マンション」もしくは「融資を使わず戸建て」を考えていたのが、本やWebでの学習に加えて自身の家計のシミュレーションを振り返ったときに、最適解が何かを考えて方針を変えました。
逆にいうと、本やブログの学習は投資方針の決定のためと意識をすると効率が良いかなと、いま振り返って考えます。
冒頭で掲載した家計のシミュレーションも、この方針作成にあたって非常に重要です。
どれだけのリスクを取れるのか、具体的には初期費用としていくら出すことが可能で、どれだけのリターンを狙うのか。
場合によっては、不動産投資を行わない、というのもここで判断できるかと思います。
自分の場合ももし株式に回せる資産が3000万円あったとしたら、不動産のリスクを取らなかっただろうと振り返ります。
こうした思考の過程をまとめたのがこちらです。
ここまでで方針策定ができると、いよいよ不動産仲介業者や銀行との面談に入ります。
10ステップの図を再掲します。
5. 不動産仲介業者との面談
自身の方針が決まったところで、年末年始の休みを使って業者との面談を実施しました。
方針がないままセールストークに流されて微妙な物件をつかまされる、というのが最も不幸なパターンなので、できるだけ明確にするのがベター。
一方で求める条件が理想的すぎて営業さんが候補を探せなかったり、呆れられてしまうのも考えもの。
ここで、1年以上読み込んだ楽待や健美家の情報が活躍します。
月に数件現れてはすぐに売れてしまう物件のスペックから推測して、理想的な物件の条件ラインと現実的そうなラインとを提示し、物件の検索を始めてもらいました。
あわせて伝えたのは、2020年中に絶対に買うという意志。
自分が営業さんの立場だったらどのお客さんに時間を使いたいかを想像して、理想的なお客さん像になるよう努めました。
ここは後付けした知識よりも、これまでの社会人経験が活きた部分。
本業での営業経験やセールスへのインセンティブ設計など、自分だったらどうするかと置き換えて考えるよう努めました。
6. 「未公開物件」との遭遇と金融機関のあたり付け
不動産仲介業者さんから直接送られてくる未公開物件は、それまで楽待や健美家で見ていたものの上澄み1割を厳選したようなものばかり。
これが川上の情報かと感動したのを覚えています。
そこから自分の基準により近いものを選び、仲介業者さんを通じて融資をお願いする金融機関への打診を開始。
自分は全くツテが無かったので、仲介業者さんが開拓済みの金融機関リストの中の数カ所へ物件情報を送って感触を探ってもらいました。
7. 融資事前申込みと買付
未公開物件の中から年初に選んで前に進めた1件目は、検討中に水道管越境の事実が判明したため残念ながら見送り。
買えないことも無いけれど、初心者が1件目からわざわざ困難に突っ込んで行かなくても良いでしょう、との営業さんとの相談の上で。
2月になり、別の候補物件で再び検討を本格化。
首都圏の郊外、8室1棟、現状満室の築古アパートです。
この頃にTwitter上で #へらじか不動産 とタグ付けしたツイートを開始。
自身の意気込みを示すとともに、諸先輩たちから学ぶためでした。
そして、3月に入って金融機関の担当者レベルで融資が出せそう、との感触を得たので事前申し込みを実施。
融資事前申込結果が出るまでは約1週間。
この頃は新型コロナの影響で様々な影響が出始めていた時期だったので金融機関の動きにも影響があるかと思っていたけれど、杞憂でした。
無事に事前審査通過の連絡を受け、買付へ。
このあたりから一気に加速し、日々の仕事の中で営業さんとのやりとりをしてたので前後関係がちょっと曖昧です。
在宅勤務体制になっていたので不幸中の幸いというか、平日の休憩時間に周りを気にせず電話できたことでスピーディにことを運べました。
8. 管理会社・火災保険の検討
結論から言うと、地場の管理会社さんと、大手の保険会社に決定しました。
管理会社については物件最寄り駅周辺の業者さんをリストアップしてヒアリングし、2社と面談して確定。
火災保険については代理店営業さんと面談したものの、残念なほどの知識量しかなく結局Web見積→Web契約に確定。
いずれも後日詳細をアップデートします。
9. 売買契約と銀行の融資本審査面談
4月に入り、売買契約と地銀さんとの面談を同日実施。
まずは仲介業者さんのオフィスで宅建士さんを交えて重要事項説明と売買契約。
契約書は、もちろん不動産のものは初めてだったけれど、本業の方で慣れていたのでアレルギーは無く読み込み・指摘と修正・捺印へ。
このあたりも思いがけずサラリーマンスキルが活きる部分です。
そして売買契約のタイミングで手付金として100万円を現金支払い。
重かったです、100万円。
つづいて地銀さんのオフィスに移動して面談。
事前にかなり気合をいれて面接の準備したものの、本番ではほとんど何も聞かれず事務手続きのみで終了。
Webで公開されている銀行面談シミュレーション動画を見たり、想定質疑と模範解答を深夜まで用意したりと就活以来の力の入れようでしたが、空回りました。
非常に印象深いエピソードなので、おもしろく書けそうだったら後日記事にしたいと思います。
「事前審査がOKなら本審査も問題ないですよ!」
との仲介営業さんの言葉どおり、新型コロナの影響で融資が締まるのではないかという不安をよそに2週間ほど待って無事に審査通過。
外出自粛の最中、決済日を確定していよいよ物件の引き渡しへ。
10. 決済、そして会社員大家へ
決済日は各種のお金の精算と、鍵の引き渡し。
銀行さんから融資してもらった金額を売主へ、
不足分を買主(自分)から売主へ、
仲介手数料を仲介業者さんへ、
登記費用等を行政書士さんへ…
人生最高額の振込を完了して、晴れて賃貸経営オーナーになりました。
鍵を受け取る瞬間はすこしだけ感慨深いものがありましたが、家賃の入金があるまでは、あまりオーナーとしての実感は無さそうです。
築古1棟アパートの収益見込み
今回郊外の1棟アパートを取得したことで、年間でおよそ450万円の家賃収入を得ることになります。
そこから銀行への返済・経費を差し引くと年間約90万円が税引前のキャッシュフロー、というところ。
ちなみに同じ金額を株(配当所得)だけで達成しようとすると、利回り3%と仮定しても、約3000万円の投資が必要になります。
これが冒頭で「もし自分が3000万円を株に入れられるなら不動産投資を始めなかった」と書いた理由です。
今回の不動産においては融資を受けたことで、3000万円の投資元本が貯まるまでの期間を短縮することができました。
今回、自分が持つ金融資産や与信や人的資源・経験を元手に収入を増やすにはどうしたら良いかを考え抜いた結果、融資をうけて不動産を持つことになりました。
その観点においては株式も不動産もそして転職も、自分にとっては同じ土俵に置いて考えています。
ここまで苦労しなくても転職で年収を上げれば良い、と考える人にとってはそれがきっと正解です。
または株式投資で良いじゃないか、というのもまた正解。
職業や家族や嗜好によって最適な方法は違うので、自分の例はあくまで一例として参照いただければと思います。
数値的なシミュレーションは別記事でまとめました。
物件は約4000万円、CCR約14%の詳細は以下の記事から。
最後に。
冒頭で書いたとおり、この記事をポータル的に扱い、各ステップの詳細や考えた事などを適宜追記していこうと思います。
どのステップに興味があるか、またそれ以外の部分でのご質問などがあればぜひコメント、またはTwitter上でご意見をいただけると幸いです。
なお、1棟購入できたとはいえまだまだ素人のため、個別のご相談にはお答えしかねます。
Twitterを通じて先輩諸氏からアドバイスをいただいたように、いつか自分も、とは考えていますが、経験値の少なさ故しばらくはご容赦ください。
コメント
へらじかさん、在米駐在です。
クレジットカードのサイトからへらじかさんを知り、ご帰任⇒不動産経営までの思考の変遷と実行に感服しています。
自分が同じことができるかどうかわかりませんが、「何かしなくちゃ!」という思いの選択肢として、検討が広がります。
これからの発信にもツイッター含めて注目/期待させていただきます!
駐在生活さん
コメントをいただき、また、クレジットカードの記事もお読みいただいたようでありがとうございます。
実行力についてもご高評をいただき恐縮です。実現まで結局2年近くかかってしまったので、あまり褒められたスピードではありませんが、ご帰任後のアクションの一例としてお役に立てば幸いです!
米国駐在時期がへらじかさんと被っており、ブログ読んでいました!
今回の10ステップ大変参考になります。
キャッシュは手付金100万以外にどのくらい必要だったのでしょうか?
今後は現物不動産もポートフォリオにいれたいと考えているのですが、株に投資してしまい、なかなかキャッシュがたまりません。笑
今後も不動産投資関係のブログ更新も楽しみにしています。
日米株アラサー投資家さん
米国仲間ですね!お読みいただきありがとうございます。
キャッシュは手付金の100万円を含めて、最終的にトータルで600万円弱かかっています。
何が含まれるのか、内訳は、と気になる部分かと思いますのでこれも別途記事にしたいと思います。
遅筆ですが、気長にお待ちいただければ幸いです。
へらじかさん、はじめまして。
米国クレカの記事も大変参考になり、今回も参考にさせていただいています。ブログのわかりやすさ、計画段階の深掘り、実行力、どれをとっても感服するばかりです。
不動産投資について、米国不動産への投資は検討されましたでしょうか?もし検討された場合、米国ではなく日本の不動産に投資することを決めた理由を教えていただけないでしょうか。
今後の不動産関連記事も楽しみにしています。
米国駐在中さん
はじめまして。記事をご覧いただきありがとうございます。
米国不動さんは興味はあるものの、本格検討はしませんでした。キャビタルゲインを狙える夢はあるものの、借入金利が日本と比較して高く(日本が安すぎるという話も)総合的に比較して日本の方が低リスクだと判断しました。
実際のところはどうかわかりません。本格検討していないので。回答になっていましたら幸いです。