出張先のアメリカで、2人の娘を持つ他社の方と教育費について話す機会がありました。
将来わが子には海外に出てほしいという漠然とした気持ちと、そこにかかるお金というリアルのはざまで考えたことを残しておきます。
年間500万円の大学の学費を払えるのか。いまの生活を続ければ答えはNoでした。
アメリカ人 Jimmy(仮名)の家族構成
話を聞いた相手をJimmy(仮名)とします。
- Jimmyは現在60歳くらい
- 奥さんと2人の娘と中西部某所に居住
- 自身は5人兄弟の末っ子
- 兄弟姉妹は全員大卒以上、2人はドクター
Jimmyはアメリカには珍しく、大手企業で長年勤めて相当のポジションに就いたタイプ。
元々小さかった会社が大きくなるという機会と仕事、家族にもに恵まれた人と言えます。
アメリカの大学の学費は年間500万円?
兄弟姉妹が全員大学以上なんてすごい、両親は資産家だったのとたずねると、昔は学費が安かったからねとJimmy。
調べてみると、1980年と比べてアメリカの大学の学費は約10倍になっていました。
This would put the expense for the four undergraduate years of college at about $54,000. In 1980-81, at the start of the current price spiral, Georgetown’s undergraduate tuition was $4,970.
現在Jimmyの娘は2人とも大学生。
上の娘はこの春にLaw Schoolを卒業して、就職が内定。
大学の学費をたずねると、諸々込みで年間$50,000かかっているとのこと。
日本円換算で500万円以上です。
こちらのサイトを見ても、私立4年制大学の平均値に近い印象です。
https://www.topuniversities.com/student-info/student-finance/how-much-does-it-cost-study-us
同じモノサシでは語れませんが、日本の私立文系大学なら年間150万円程度。
アメリカはざっくりその3倍。
見ないようにしていましたが、現実を目の当たりにした感覚です。
500万円というのは一例であり、金額について一概には言えません。
ライフプランを考えてアメリカの大学は現実的か
自身が駐在員としてアメリカで暮らし、合理的な仕事ぶりを肌で感じると同時に経済成長の強さを目の当たりにして、子供には漠然と、いつかのタイミングで海外に出てほしいなと考えていました。
妻も同じく、子供たちが大きくなる20年後を見越して、働いたり住む国を選べるようになっていてほしいという思いを持っています。
そこにきて、年間500万円という現実。
これが我が家にとってどの程度の重さなのかを考えてみます。
基にするのは、昨年末のボーナス後に作成した資産シミュレーション。
https://moose-fukui.com/money-planning/costsaving-vs-investment
この中で、大学の学費としては4年間トータルで約700万円を見込んでいました。
今後の節約や資産運用も加味した場合の、12月時点での資産推移はこちら。
上の子が大学進学するであろう2033年には貯金を崩す未来。
これ自体は事前に備えればよく、定年時にある程度の貯蓄もあるのであまり悲観視していません。
これがもしも、子供2人がアメリカの大学へ進学したらどうなるのか。
住居は寮か借りるか、奨学金は受けられるか、州によって物価も違うし・・・
といった諸条件をあげるときりがありません。
不確定な未来をいっそシンプルに、Jimmyの言った年間500万円でシミュレーションします。
結果がこちら。
2033年から2038年にかけて単年度の収支がマイナス400~900万円
2036年に総資産がマイナス、つまりは破産します。
子供の進学のために借り入れが必要ですが、自身の定年が60歳だとすると、返済の見込みが立たないので借りるのも難しそうです。
これは、困った。
令和時代に夢を現実にするためのお金
子供を海外へ、というのはあくまで親の勝手な夢です。
ただ、漠然とした夢というよりは、実際に駐在員として日本の外で暮らしてみて、子供たちにも同様に日本を外から見る生き方をしてほしいなと現実的に願うようになりました。
その一方でお金については現実的には考えていなかったのも事実。
今回Jimmyの話を聞いて、先を見通してみようと、情報をまとめました。
年間500万円という数値も、アメリカの物価上昇を考えると15年後にはさらに高くなります。
「高くなる可能性」と言うよりは、これはもうほぼ確実な未来。
令和時代を生きるわが子たちの、さらにその次の代になったら物価の差はもっと開くでしょう。
日本の給料でアメリカの大学に行くなんて夢のまた夢になるかもしれません。
子供、孫、その次の世代。
どの代で「そこ」に食らいついていくのが最も現実的か。
生き方を決めるのは子供たち自身ですが、選択できる未来のためのお金については真剣に考えておきたい。
今回のシミュレーションも、決して暗いものではなく、漠然とした夢を現実にするためのいいきっかけになったなと思います。
ちなみに、どうしたら学費を捻出できるか試算してみました。
節約・資産運用・副業などなど検討しましたが、転職して手取り年収を上げるのが手っ取り早そう。
仮に転職により手取り年収が80万円アップ、
代わりに新しい会社からの家賃補助がなくなったシミュレーションがこちら。
無事に破産は免れます。
定年までこの年収水準を維持できるかどうかも不確定ですが、動かないよりはマシに見えます。
昨年アメリカ駐在から日本に帰国後、散々悩んで現職に留まることを決めましたが、また考える日々が続きそうです。
GWを使ってじっくりと家族全体のキャリア考えるための、いい素材になりました。
後日談:留学費用削減策についての情報
上記の記事にTwitter上で100件をこえるコメントと情報をいただきました。
正規の留学費用は3000万円が相場であること、費用削減のための方法はいくつもあること、そしてアメリカ以外の留学のみちについて。
自分と同じく、漠然と子供の海外キャリアについて考え始めた方への参考なればと、その情報をまとめた記事を書きました。
https://moose-fukui.com/money-planning/300k-tuition-fees-in-us
関連記事です。
駐在からの帰国時にさんざん悩んだ転職について、考え方をまとめています。
「転職の思考法」という本を読んで思考を整理しました。
https://moose-fukui.com/money-planning/annual-income2018
キャリアやライフプランに最も大きな影響を与えるのは2回目の海外駐在。
また機会があるよと上司からは言われますが、はたして真実は。そして時期は。
駐在していた2017年当時の給与についてまとめています。
https://moose-fukui.com/money-planning/annual-income2017
コメント
SFベイエリアに住んでおります。私は永住ですが、ブログ、興味深く拝見いたしました。
おっしゃるとおり、アメリカ人にとっても、大学学費の高騰は頭の痛い問題です。このあたりのコミカレ(コミカレですら外国人は学費高いです)やUCなどで、だいたい羽振りがよさそうなのは、お金持ちの中国人留学生ですね。ほとんどの学生は、ローンを抱えたりして大変です。卒業後もローンに苦しんで離婚したり鬱になったり、という記事が最近あちこちで頻繁に出ています。深刻な問題です。
私の友人のお子さんも、コロンビアですが、なんと年間学費は7万ドル以上(Tuition54000、R&B15000+アルファ)です!(送金するときに、めまいがするとおっしゃっています。)私共も529で、せっせと資金をためております・・・。
ですが、希望もあります。アメリカにはローンの他にも、一応、Work Study(在学中に学校で働く),スカラシップ、Grant、などなど返す必要のないAidもたくさんあります。
お子さんが、芸術やスポーツなどで秀でている、ダイバーシティに寄与できる、高校での成績、英語力、エッセイ、リーダーシップなどで、アピールできれば、外国人であっても、十分、メリットベースの奨学金を狙うことはできるとおもいます。(メリットベースの奨学金がない大学も多々ありますが・・・)要は、やる気を見せることです。
実際、私の知人のお子さんも、13歳まで海外、帰国後、フルスカラシップを取って、某有名大学にかよっています。実費はR&Bのみだそうです。他にも、日本からの留学生の方で、スカラシップをとって通っていらっしゃる方を数名知っています。皆さん、タフです。
ブランド名ではなく、「お子さんの良さを認めてくれる大学」を選ぶことが重要ではないかとおもいます。最初は希望大学でなくても、頑張ればトランスファーもありますしね。
日本人には有名でなくても、いい大学はたくさんあるんですよ。お子さんは、これからまだまだ時間も余裕もありますから、ぜひ、お子さんのいいところをぐんぐん伸ばしてあげてください。 私も子育て、投資、がんばります~。
まるおさん、
コメントありがとうございます!自身に留学経験がないため、スカラシップやGrantの情報は大変参考になります。
SFエリアとなれば生活費全般が高そうですが、そんなまるおさんから勇気付けられる情報をいただき大変嬉しく思います。子育て、投資、お互いにがんばりましょう!