2017年1-12月の給与とボーナスを、アメリカ駐在する日系メーカー勤務会社員の年収としてまとめました。
結論から書くと、税引き前で1883万円、手取りは1096万円でした。ここには米ドル建ての給与、日本円建ての給与とボーナス、全てを含みます。
本記事は、先日書いた以下の記事で伝え切れなかったボーナスや日本側給与を含めた完全版です。
背景: 収入を公開する動機は欲しい情報がWeb上に無かったから
わざわざ自分の年収を公開する理由は複数ありますが、1番大きいのはウェブ上に駐在員とお金にまつわる情報が無く困ったためです。
海外赴任前に人事から給与説明はありましたが、それが高いのか安いのか、貯金が可能なのかどうかはよくわからないまま渡米。
他社の海外駐在員のケースをWeb検索しても断片的な情報しかなく、あっても商社や金融のデータなので参考になりません。
収支の予測がつかないと、資産運用の計画は困難になります。不測の支出に備えて現金ポジションを高める必要に迫られるためです。
加えて我が家の場合は2014年に娘が生まれた直後に海外赴任の辞令が出たので、資産運用はおろか貯蓄のまともな計画も立てられず、海外生活に慣れるために毎日必死。
次いでアメリカで2人目が産まれてあっという間に2017年になってしまったという経緯があります。
30代になり、子供を持ち、お金のことを考えるべきタイミングでスタートダッシュにつまづいてしまったな、というのが反省。
2017年夏からようやく資産運用を初めてそれなりに形になってきましたが、もっと早く始めていれば良かったなあと。
これを教訓として、渡米される方の資産形成にこの記事を役立ててもらうのが目的です。
基本情報: 年齢・職種・家族構成等
- 30代前半
- 日系メーカー
- マーケティング
- 妻と子供2人の家族構成
- 肩書きはマーケティングマネージャ
- 部下無し
- 残業代無し (Exempt Employee)
ベースとなる月給はドル建てでアメリカの銀行に、ボーナスは円建てで日本の銀行に入金されます。
この他にわずかな月給が円建てで日本の銀行へ。
以下、日米それぞれの口座に入る分を分けて解説します。
ドル円レートは$1=112.70円とします。
ドル建て給与と税金・保険料
アメリカでのドル建て給与年収は$140,245 (約1580万円) でした。
日本でもらっていた給与をベースに、購買力保証方式という考え方に基づいて算出されています。
ここから諸々の税金や健康保険料が$61,355引かれ、手取りは$78,890 (約889万円) でした。
ドル建てボーナスというものはありません。
アメリカの銀行口座にドルで入金されるお金はこれが全てでした。
円建て給与と税金・保険料
上で、わずかな金額、と書いたとおり日本円の給与は日本の健康保険を維持するために必要な金額だけが支払われています。
日本で勤務していた頃の金額がそのまま入るというわけではありません。(=日米で給与両取り、とはならない)
約7万円の額面から健康保険料、社会保険料、組合費他を差し引いて、月々約2.5万円の手取りです。
年間トータルで32万円。これが日本の銀行に振り込まれます。
昨年との違いで大きいのは住民税の支払いが一切無かったこと。
2016年は途中まで毎月2万円以上の住民税を支払っていたため手取りがマイナスに転じた (夏のボーナスから相殺されていた) 時期がありましたが、2017年は各月ともプラスでした。
円建てボーナスと税金・保険料
自分の勤め先では為替差損のリスクヘッジのためボーナスは円建てで日本の銀行口座に入ることになっています。
2017年のボーナス額面は夏冬合わせて212万円、税金や保険料を引いた後の手取りは約175万円。
昨年比+18万円は、ボーナス算出に用いられるベース給与があがったことと、昨年よりもパフォーマンス評価が良かったことが影響した結果プラスでした。
2016年は第2子の出産と家族ケアで満足に仕事ができない時期がありましたが、2017年は妻の協力のおかげで過去最高の評価を獲得。
アメリカ赴任以来、この日本円のボーナスには一切手をつけていません。帰国後に車を買いなおすための資金、そして子供の教育資金としての貯蓄です。
こう書くと堅実に貯金をしているように見えるかもしれませんが、実際には日本の口座からお金を動かせないと言った方が正しいかもしれません。
日本のメガバンクから海外送金をしようとするとマイナンバーを求められるものの、制度の本格開始前に出国したのでナンバーは非保有。
また送金先口座情報は日本の銀行の窓口に行って事前登録をしないと、Webでの送金指示はできないとのこと。
海外居住者に全くマッチしないルール設計により、詰んでいます。
ゼロに等しい金利の普通口座にただお金が眠っているという状況は本当にもったいない。
本当ならドルに換えて米国個別株やETF運用に回したいと考えていましたが、結局叶いませんでした。
最終的な手取りは1096万円
これまでの情報を日本円換算でまとめます。(ドル円レートは$1=112.70円)
- 米ドル給与 ・・・ 889万円
- 日本円給与 ・・・ 32万円
- 日本円賞与 ・・・ 175万円
合計1096万円が手取り年収でした。
これを多いと見るか少ないと見るかは考え方次第です。
毎月$2,200 (約24万円) の家賃や、娘のデイケアに年間100万円以上払ったりとアメリカでの支出は多く、月々の固定支出は約$4,000 (約45万円) 。
支出のうち、大きなものについては以下の記事に記載しています。
また、カリフォルニア州にお住まいの駐在員ユキヒョウさんが生活コストについて記事にされています。
ガソリン代、電気代、幼稚園代とそれぞれカリフォルニア以外の情報も含めて非常に詳細に書かれており、いずれも一見の価値ありです。
2015年当時の自分に届けたかった情報はまさにこれです。
リアルな情報発信をされる駐在員ブロガーの存在をとても嬉しく思います。
この金額をどう受け取るかは人による
この記事でお見せしたのはあくまで一例に過ぎません。
海外勤務と言っても、また同じアメリカ内であっても都市によって、物価水準は大きく異なります。また家族構成や福利厚生も大きな変数。
良くも悪くも真に受けず、ご自身で適切に判断をされた上で貯蓄や資産運用の計画を立てていただければと思います。
自分としては、物価差がある中で支出分の購買力を補填されてはいるものの、妻の分の収入減とキャリア中断を加味した上での手取り1000万円オーバーなので、金額から受けるインパクトほどのリッチさは無いと感じました。
この情報も加味した上で、ご家族が一緒に海外赴任するかどうかを決定されるのが賢明です。
海外で暮らすというお金に換えられない貴重な経験ができるのが最大のメリット。
なので強くお勧めしたくなってしまうのですが、代わりに失うものもあるので、一概に渡米を勧めるのも違うかな、と。
それでもお金の面だけで言うと、2016年と比較すると昇給やボーナス増があったため、2017年は幾分か余裕あり。ドル建て資産の運用を開始することができたのもそのおかげです。
金額的に決して多くはありませんが、お金の余裕は心の余裕になり、視野を広げてくれると実感しました。そして広がった視野が、このブログに通じています。
この記事が、これからアメリカ生活を始める方の目に留まり、何かの助けになることを願います。
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2020年、日本に帰国して1年半が経過し腰を据えて資産運用に臨めるようになりました。ボーナス支給後の状況をまとめて、今後30年間の資産推移をシミュレーションしました。
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