2018年に海外赴任から帰国し、2019年にNISA口座を作った話を記事にしました。
その中でふれたのが、NISAにおける海外居住者の扱い。
これまでNISA口座による税制メリットは国内在住者だけが受けられるものでしたが、2019年4月1日から税制改正によって海外居住者も一定条件のもとでNISA口座維持が可能になりました。
将来的に海外転勤の可能性がありNISA口座開設に二の足を踏んでいた方にとっては朗報です。
後に続く方、なにより自分自身の2回目の駐在の可能性に向けて情報をまとめます。
平成31年度(2019年度)NISA関連税制改正内容
前回記事作成時の根拠となったのは、財務省がWeb掲載している平成31年度税制改正大綱です。
海外居住者のNISAについての措置は一部のみなので、該当箇所を引用します。
財務省 平成31年度税制改正の大綱より引用
2 金融・証券税制
(国税・地方税)〔延長・拡充〕
(1)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。
非課税口座を開設している居住者等が一時的な出国により居住者等に該当しないこととなる場合の特例措置を次のとおり講ずる。
イ 当該居住者等がその出国の日の前日までに当該非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に、その者に係る給与等の支払をする者からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して出国をする旨、引き続き非課税措置の適用を受けようとする旨、帰国をした後再び当該非課税口座において非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入れを行う旨その他の事項を記載した届出書(以下「継続適用届出書」という。)の提出をしたときは、その出国の時から、その者が当該金融商品取引業者等の営業所の長に、帰国をした年月日、当該非課税口座において再び非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入れを行わせようとする旨その他の事項を記載した届出書(以下「帰国届出書」という。)の提出をする日と当該継続適用届出書の提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日とのいずれか早い日までの間は、その者を居住者等に該当する者とみなして、本措置を引き続き適用する。この場合において、当該帰国届出書の提出をする日までは、当該非課税口座に設けられた非課税管理勘定又は累積投資勘定に上場株式等を受け入れることができないこととする。
ロ 継続適用届出書の提出をした者が当該提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日までに当該金融商品取引業者等の営業所の長に帰国届出書の提出をしなかった場合には、同日においてその者が当該金融商品取引業者等の営業所の長に非課税口座廃止届出書を提出したものとみなす。
ハ その出国につき、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象となる者は、継続適用届出書の提出をすることができないこととする。
税制改正大綱なんて自分も読み慣れないので、パッと頭に入ってきません。
NISA口座を持っている人が海外赴任の辞令を受けたらやるべきことを具体的ににまとめてみます。
要するに、海外赴任前に何をしたら良いの?
渡航前に「継続適用届出書」を証券会社に提出
上の税制改定の内容を要約すると、以下3点を記載した書類、「継続適用届出書」を証券会社に提出し、海外在住期間中もNISAの税制優遇を受けさせてとリクエストするようです。
- 勤務先からの海外転勤辞令など、やむを得ない理由
- 海外赴任期間中もNISA口座を持ち続けたい旨
- 帰国後もNISA口座での運用を再開する旨
おそらく証券会社側がフォーマットを用意しているかと思うのですが、自身がまだ2度目の駐在機会がないので、未調査です。
この届出以降、帰国まではNISA口座での売買はできません。あくまで維持のみです。
帰国後に「帰国届出書」を証券会社に提出
今回の税制改正で認められる「一時的」な海外渡航期間は原則5年間。
この期間内に帰国し、今度は証券会社に「帰国届出書」を提出することで売買を再開することができます。
資料提出のデッドラインは5年間経過した年の12月31日、とのことなので、海外赴任と帰国のタイミングによっては少し期間が延びそうです。
厳密には「帰国して届出書を出した日」もしくは「5年経過後の年末」のいずれか早い方と書かれているので、最終的には口座を持っている証券会社に問い合わせをした方が無難。
この記事を読んでいる方の中には2019年、2020年に海外赴任が決まっている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方々へ向けて、スケジュールを整理してみます。
ケース1、2019年10月から海外赴任をする場合
仮に10月1日に渡航するとすると、9月のうちに「継続適用申請書」を証券会社に提出。
その後帰国し、2024年の12月末までに「帰国届出書」を出すことで、NISAの税制優遇を引き続き受けられます。
実質、約5年3ヶ月間までは継続利用ができるということ。
帰国届出書を忘れて2025年になってしまうと、非課税口座廃止届出書を出したとみなされる。つまりは、NISA口座の廃止を申請するという扱いになってしまうようです。
ケース2、2020年4月から海外赴任をする場合
仮に2020年4月1日に渡航するとすると、2020年3月のうちに「継続適用申請書」を証券会社に提出。
その後帰国し、2025年の12月末までに「帰国届出書」を出すことで、NISAの税制優遇を引き続き受けられます。
実質、約5年9ヶ月間までは継続利用ができるということ。
上のケースと同様に、帰国届出書を忘れて2026年になってしまうと、NISA口座の廃止を申請したのと同じ扱いになってしまうようです。
ジュニアNISAは海外居住の間は継続不可?
と、ここまで読み込んで気づいたのですが、一般/つみたてNISAは海外居住時の緩和が明記されている一方でジュニアNISAにはそれがありません。
つまり、ジュニアNISAについては海外居住期間中の維持が認められていないように見えます。
この点、裏を取った上で今後追記します。
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非NISA枠で持っていた唯一の銘柄、自社株を2020年に売却しました。
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