国内営業から海外部門へ異動した際、はじめの仕事はTV会議の議事録作成でした。
海外拠点とのTV会議内容をまとめるのは英語に慣れること、業務に追いつくこと、様々な面でいいスタートになりますが、勝手がわからずはじめは苦痛でした。
当時はTOEIC700点台。録音した音声を何度も聞き返しながら議事録を書いていましたが、駐在も経験した今は最小の労力で効率的な議事録(摘録)が書けるようになりました。
この記事の想定読者は・・・
- 海外部門に新たに配属された人(=6年前の自分)
- 英語での商談・会議を控えている人
に向けて参考になればと思い、シンプルな議事録(摘録)の書き方例を紹介します。
英語での議事録(摘録)の例文
先月、海外拠点から日本に出張してきた同僚と打合せをした際、へらじかが実際に書いた議事録をほぼ原文のまま、固有名詞を抜いてご紹介。
All,
Thank you for attending XXX meeting! Let me send minutes we confirmed in wrap up session for your review. Any comments or modifications are very welcomed!
New product marketing campaign 9:00am- by Miranda
[Discussions and comments]
- Communication plan need to be established first, using promotion video for exhibition held in December 2018.
- Company internal communication: E-learning is going to be started in October targeting employees in sales and customer support division.
[Actions]
- Miranda to share the contents of e-learning to R&D team for reviewing by September 15th.
- Luke to have a meeting with Anne and her team to modify communication plan since there is minor changes in caption of the promotion videos.
- Kevin to update MarComm team about the schedule of exhibitions in 2019.
たったこれだけですが、何が決まって、誰が今後のアクションを担うのか、明確にしてあります。
ポイントをひとつひとつ見ていきます。
英文議事録作成のポイント解説
書き出しはシンプルに
Thank you for attending XXX meeting! Let me send minutes we confirmed in wrap up session for your review.
本日はお忙しい中、またはるばる遠方からお集まりいただきありがとうございました、的な挨拶は場合によっては英文メールでも必要ですが、社内向けかつ対面での会議だったので今回は省略。
Any comments or modifications are very welcomed!
間違っていたら気軽に指摘してね、というフレーズ。
議事の内容は資料外のことを中心に
[Discussions and comments]
会議中に挙がった質疑や、議論の内容の要約です。
会議資料、プレゼン自体に書いてある内容を転記するのは非効率的なので、WordやPowerPoint資料をそのまま添付。資料に書いていない発言を中心に記載。長々しいメールでは要点も埋もれてしまうので、シンプルかつ効率よくが現代マナー。
Communication plan need to be established first, using promotion video for exhibition held in December 2018.
1時間くらいの討議だったので様々な意見が出ましたが、これは重要だな、と思うコメントのみを要約して記載します。
この日は「いろんな活動が並行して行われているけど、全体のプランが見えないから12月の展示会に向けてコミュニケーションプランとして整理しようよ」という指摘が的確で、かつ後のアクションも必要なので、書き出しました。
【重要】次のアクション・宿題事項の書き方
[Actions]
- Miranda to share the contents of e-learning to R&D team for reviewing by September 15th.
- Luke to have a meeting with Anne and her team to modify communication plan since there is minor changes in caption of the promotion videos.
- Kevin to update MarComm team about the schedule of exhibitions in 2019.
議事録のキモ。この項目のために記事を書いたといっても過言ではありません。
このパートでは会議の参加者にアクションを促すことが重要なので、特段の理由がない限り主語は極力個人名にするのがポイント。責任の所在や期限を明確にします。
もっと徹底的にやるなら1作業ごとに担当者と期限をこんな風に記載。お客さん向けのレターを出すというアクションを複数人で分担する場合を例にします。
仮にこの3つのアクションを以下のように1行にまとめてしまうと、ミスの元になります。
「マーケティングチーム」が主語になっており、アクションが個人と結びついていないため、チーム内の誰がやるかが不明確だからです。
個人名で書かず、責任の所在を曖昧にした場合の失敗例↓
- Andyがレターを作ると言っていたので進捗を聞くと、後になって「レターの内容はBennetに確認しないと完成させることができない」と言い出す
- Bennetにコンタクトすると休暇中(予告なし、自動返信メールで発覚)
- Cathyにレター出した?と聞くと「レターを出すのは私だけど、作るとは言っていない」と主張、等々
いずれも発見が遅れると計画全体の遅れに直結します。
日本的感覚だと前後のタスクを考慮して調整するところまでが当然セットで付いてきますが、アメリカではタスクや責任は個人に紐づくので、上記3名の言っていることはある意味全て妥当です。
Cathyの言う「レターを送るのは私だけど作るとは言っていない」は非常に理にかなっています。
Bennetの休暇も個人の権利なので、チームとしてタスクを持っていても彼女が休むことは当然。明確に彼女にタスクを割り振らなった会議主催者(と議事録)が悪いくらいです。
これを突破するためには再度打合せを持って役割を明確化したり、それぞれのボスから降ろしてもらったりと、ひと手間増えてしまいます。
こうした非効率な事態を避けるために、議事録(摘録)では会議の参加者にアクションを促すことが重要なのです。
議事録の型を真似るのがはじめの一歩
会社、相手、状況により議事録の書き方は様々なので絶対の正解というのは無く、自分の摘録も同様ですが、「必要な人に必要なアクションを促す」という目的は確実に果たせています。
逆に言えば、その目的を達成できるなら書き方は何でもよく、極論、責任とアクションが明確なら口約束だけでも済むわけです。
とはいえ海外とのやり取りが初めての場合にはお手本をもとにしてある程度の「型」を身に着けることが近道かと考え、記事の作成に至りました。
真似から入って、個々人で最適な書き方を見つけるための、最初の一歩の助けになれば幸いです。
海外部門に異動した際の心境を綴ったエッセイは次の記事へ。「いつかは海外」と口だけだった自分が腹を括って英語を勉強したエピソードです。
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