インテュイティブサージカル株 (ISRG) を購入した3つの理由と撤退ライン

インテュイティブサージカルの株価,年初来高値 30代からの資産運用
インテュイティブサージカル株 直近1年の推移

保有するポートフォリオのほとんどの銘柄は米国株ブログ界隈でも定番といわれるものばかりですが、インテュイティブサージカル (ISRG) は非定番ながら期待を込めて買いました。数年後に成績が良くても悪くても自身の判断を振り返れるよう、記録を残しておきます。

Intuitive Surgicalの概要

インテュイティブサージカル (ISRG) はアメリカ、カリフォルニア州に本社を置く医療機器の製造販売業。ロボット支援下低侵襲外科手術の分野で市場を引っ張るトップ企業です。

 

米国FDAで初の認可を受けたのが2000年。以来、超精密なロボットによる手術システムを販売し医療現場にロボット手術という新たな概念を誕生させました。

同社の投資家向け資料によると、2017年には全世界で87万5千件のロボット手術が行われ、2018年6月時点で4,666の手術室にロボットが導入済みとのこと。地域別ではアメリカが最も多く約3,000台が導入されています。

 

主力製品であるda Vinci Siは1台あたり約2.5億円と非常に高額。加えて手術1回ごとに消耗品が必要になるため、その売上も見込める「カミソリ刃」型のビジネスモデルです。

年初来リターンは50.3%と好調。2018年10月5日時点の株価は548.71ドル。

インテュイティブサージカルの株価,年初来高値

インテュイティブサージカル株 直近1年の推移

ここから、具体的に自分が購入に踏み切った理由を説明します。

 

購入理由1: 手術市場の自然成長の強さ

同社が持つ手術ロボット『ダヴィンチ』は癌や神経系の精密手術に強みを持ちます。この疾患は世界的に増えていくことが予想され、ソースによって数字は異なりますが年次10%の成長と見る場合もあります。

そして2016年に出されたこちらのソースでは、手術ロボット市場は8年に渡って年次20%以上の成長が見込まれるとしています。

IT業界ほどの派手さはありませんが、堅実な医療業界においてこれほど大きな自然成長が見込める分野というのも珍しいです。現時点で手術ロボットシェア1位のダヴィンチを擁するIntuitive Surgicalならば、市場の自然成長に伴って右肩上がりになることは堅いと考えました。

 

購入理由2: 手術ロボット領域での先行者優位性

単価が高い手術用ロボット市場は固定費型のビジネスだと見ています。固定費型ビジネスにおいて重要なのはマーケットシェアであり、一度築き上げれば簡単にはひっくり返りづらい状況を作り上げられます。

医療分野の特性から考えても薬事法など各国の行政による長期間の審査が必要なため新規参入しづらく、仮に行政認可を得たとしても臨床の現場に入り込むにはアカデミックな活動が必要であり、年単位で時間を要します。体力のないベンチャー企業は苦戦を強いられます。

いまから2-3年の間にダヴィンチの市場が他におきかえられるということはあり得ず、長期で保有できる株だと考えました。

 

購入理由3: 廉価版ダヴィンチの発売と日本での保険償還

2018年4月にダヴィンチXという廉価版モデルの薬事認可が下り、翌月発売されました。狙いはいくつかあるでしょうが、ユーザーの裾野を広げつつ、本体価格が安い分は手術ごとに用いる消耗品で儲けるレザーブレード(カミソリ刃)ビジネスへと徐々にシフトしていくのだろうと見ています。

2017年実績では本体売上が約9.3億ドル(約1,000億円)、消耗品売上が約16.4億ドル (約1,800億円)と、すでに消耗品の売上割合の方が多くなっています

 

2018年現在インテュイティブサージカルは無配ですが、自己投資により市場があるレベルまで成熟し、レザーブレードビジネスが回りだした頃に配当が出始めるといいなという期待を持っています。

日本市場でもこの春から、ダヴィンチを使った12種類の手術に対して保険適用が認可されました。製品価格が高く医師のトレーニングも必要なのでこれで一気にユーザーが増えるというほど動きの早い製品ではないと思いますが、とても明るいニュースだと捉えています。

 

撤退ライン: 市場シェア41.7%以下の時点で無配なら売却

ダヴィンチの競合製品が増えて競争が激化することは必至ですが1強状態が続くうちは保有し続けるつもりです。

クープマンモデルにのっとって、市場シェアが41.7%を切り、1位の座が危うくなってきたら考え時。その頃まだ無配のままだったとしたら、おそらく売ります。

 

もしその頃に配当があったとしたら数年は様子を見ます。先行者優位が働きやすい医療市場において、40%ラインを切ったからと言って急激に10%、20%シェアへと下落することは考えにくいため、配当が続くうちは数年間、様子を見ます。

どのシナリオに進むとしても今から最低10年は持ち続けられる株だと判断しました。

 

引用・参照

Investor Presentation August 2018

投資家向けによくまとまった資料です。ビジネス英語の生きた事例でもあるので、学習にうってつけ。

https://isrg.gcs-web.com/static-files/8bbddc9e-579c-47a1-ac91-fabe26e5e278

コメント

  1. Tおじ より:

    はじめてコメントを書きます。
    Tおじと申します。いつもブログ拝見しております。クレジットカードの記事はとても参考になりました。
    また、4歳の娘がいるので英語教育についても非常に参考になっています。いつもありがとうございます。

    Firstradeについて質問があります。
    現在へらじかさんは日本に在住かと思いますが、Firstrade口座の運用はまだされていますか?
    私は現在シカゴに在住中です。今年中に日本に帰国予定です。
    口座開設を迷っているのですが、帰国後の確定申告が不安で口座開設に踏み切れません。
    帰国後の確定申告は大変ではありませんか?
    もしよろしければ帰国後の確定申告法などについて記事にしていただけると非常に嬉しいです。
    宜しくお願いいたします。

    • へらじか より:

      Tおじさん
      コメントとご質問をいただきありがとうございます。4歳のお子さんとの駐在生活、大変かと思いますがぜひ楽しまれてください。

      Firstradeについてはいまでも口座を維持しています。ただ申し訳ありませんが、確定申告や税金関係についてのアドバイスは一切しないつもりでおります。
      税制は複雑かつ変数が多く、自分の対応がそのままTおじさんに当てはまるとは限りません。所得の種類、金額、日本と国外の滞在日数、控除等々、挙げればキリがありません。
      さらに数年で改訂もおこなわれ、最終判断は地域の所轄税務署・税理士判断です。
      これに対し自分が生半可な知識・経験で他の方へアドバイスをしてしまうこと、またブログ記事をかいて税制改正を知らずに古い情報を放置してしまうことで生じるリスクに責任を負えないため、ブログでは言及しないことに決めました。

      ドライな回答になってしまい恐縮ですが、御自身の判断およびお住まいになる地域の税務署・税理士へご確認いただくのがよろしいかと存じます。
      その手間や不安が解消できないと言うのであれば、無理して駐在中にFirstradeを開設せずとも、いまは日本の証券会社でも米国株の購入は可能です。これらを総合的に判断され、投資は自己責任で行っていただくのがよろしいかと存じます。
      直接お力になれず申し訳ありませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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